こんにちは、ちゃんねこです。
前回はボーカルMIX、音色調整・EQ処理を書きましたが
https://www.farm-netmusic.jp/2018-03-12-vocalmix4/
大まかな流れはこちら↓
https://www.farm-netmusic.jp/2018-02-26-vocalmix1/
今回は空間系処理について語りたいと思います。
空間系処理について

ざっくり編でも書きましたが、この空間処理がオケにヴォーカルを馴染ませる一番のポイントかもしれません。
同時に難しいMIXでもあると思います。
効果がはっきりしなくてついついかけすぎてしまいがちです。
しかし、しっかり処理すれば強めにかけても違和感は出づらくなるのです。
ヴォーカルの馴染みが悪いと悩んでる人は空間処理をマスターするとぐっと良くなると思います。
これは持論ですが、ヴォーカルは音が出たり消えたりという
他の楽器に比べて特殊な動きをしますが、その隙間を埋めるような意味もあると思います。
これらは基本的に、ローカット・ハイカットをします。
ローカットでもこもこ、モヤモヤを防ぎ、ハイカットで余計な広域を切ります。
かけ方は何か特別な狙いがない限りセンドで使いましょう。
空間系の使い方はいずれ語るので軽く書きます。
CubaseだったらFXチャンネルトラックを作りエフェクトをインサート、各トラックのSendsからFXトラックに送る量を調整します。
この時、エフェクトではWETあるいはMIX100%(エフェクトを通した音の割合)にしておきます。
こうすることで、原音にエフェクト音をどのくらいプラスするか調整でき、エフェクト音にのみEQなど処理をすることができます。
ヴォーカル処理に使う空間系はリバーブ・ディレイになります。
まずは
リバーブ
定番のAudio Ease/Altiverb -性能も高いがお値段もw
について語ります。
ちゃんねこがヴォーカルに使うリバーブは主に三種類
- ホール系
- ルーム系
- プレート系
です。
上から順に音場が広くなっていきます。
ローカットは200-300Hz以下、ヴォーカルのみにかけるものは400Hzくらいから切ったりします。
ハイカットをすると高域がなくなるので難しいところですが、ハイカットすることで他の楽器の高域(ハイハットなど)と被らなくなるので意外と抜けが良くなったりします。
これらをするだけでも深くかけすぎな感じは減ります。
リバーブはヴォーカルのみにかけるものと、トラック全体にかけるものがあります。
トラック全体はだいたいルーム系かホール系です。
ホール系

ホール系は名前の通り、ホールの残響を模したリバーブです。
反射するまでの時間、減退するまでの時間が長く、奥行き、距離感があります。
ヴォーカル、その他の楽器にかけて同じ空間を演出して一体感を出します。
ヴォーカルのみにかける場合があります。
バーラードやBPMの遅い曲、クラシック、壮大な曲に合います。
こじんまりした曲、BPMの速い曲などにはあまり合わないので、曲の雰囲気に合わせるといいと思います。
ルーム系と合わせて使いたい場合もありますが、うっすらとかけるだけにしたほうがいいと思います。
気をつけたいのが、低域が出やすくて長く残りやすいことです。
ローカットしておかないと大変なことになります。
Decay・Dampingで調整、場合によってはゲートで切るの手です。
ルーム系
ルーム系も基本的にホール系の空間の小さいバージョンと考えていいと思います。
これも各トラック、ヴォーカルにかけて一体感を出します。
その名の通り部屋などの小さい空間の響きをイメージするといいかと思います。
ホール系よりも出番が多いかと思います。ルーム系よりも強くかけても破綻しにくいです。
ジャンルは基本なんでも合うと思います。クラシック系やオペラは断然ホール系は合わないと思いますが。
プレート系
Waves/Abbey Road Reverb
取りあえずプレートリバーブはこれを買っておけば間違いないです。
(重いのが難点ですが)
元値4万近いですが最近は常に激安です。かと言って性能は高いです。
プレートリバーブはヴォーカルMIXには外せないエフェクトです。
文字通りプレート(鉄板)を利用して響きを出したリバーブです。(画像はEMT140というプレートリバーブの元祖です)
認識としては、先程書いたホール系ルーム系とは別の考えで
広がりや馴染みを出すというよりも、声の厚みや存在感を出す狙いでやっています。
これをかけるとぐっと存在感の増したヴォーカルになります。
こうやって種類、狙いを分けることでリバーブ過多にならなくてすみます。
このリバーブ音にも薄っすら、トラック全体にかけるリバーブをかけます。
そして、リバーブ以外にもう一つ使うのが
ディレイ
定番のWaves/H-Delay
です。
ディレイは原音を遅れて流すんですが、リバーブよりもはっきりとそのまま鳴らすので人工的な聞こえ方です。
種類は主に二種類で
- モノディレイ
- ステレオディレイ
があります。
モノディレイ
はその名の通りモノラルのディレイです。
奥行きを出したい時に使いますが、ちゃんねこはヴォーカルでモノディレイはあまり使いません。
奥行きはリバーブで出しているので。
バラードでホール系のリバーブを使ってもう少し残響を残したい、でもリバーブ過多になる。
そういう時モノディレイで補うのも手です。
ステレオディレイ
定番のWaves/H-Delay
その名の通りステレオのディレイで、左右微妙にタイミングなどズレを作ってステレオ感を出す仕組みです。
ヴォーカルは基本モノラルなのでこれを使ってステレオ感を出すと、馴染み、存在感がとても良くなります。
歌ものではよく使われています。皆さんも市販の歌モノを左右注意して聞いてみてください。
左右片方からSやTなどの音が遅れて聞こえてきませんか?
モノディレイ・ステレオディレイどちらにも言えることですが、SやTの音だけ大きく聞こえてしまいます。
なので、ハイカットあるいはディエッサーでそれらを抑えます。
また、音量に合わせてディレイの音も大きくなり目立ちやすいので、コンプレッサーをかけます。
サビなど明らかに大きい音量のトラックには別にディレイのFXトラックを作って調整するといいです。
ディレイタイムの設定はBPMに合わせて決めるといいです。
そしてこのディレイにもうっすら全体にかけているリバーブをかけます。
ヴォーカルのディレイの値の目安なのですが、結構定説的に言われていることがあるみたいです。
それが
ディレイタイム=189ms
フィードバック=26%
です。
迷ったらこの値にしとけってくらい万能だそうです。
まとめ
- 空間系はセンドでWET/MIX100%で使う
- 空間系には総じてローカット・ハイカット
- ホール・ルームリバーブ広がり、一体感
- プレートリバーブは厚み・存在感。狙いを分けて使う
- モノディレイは奥行き、ステレオディレイは広がり
- ディレイはコンプ・ディエッサーなどで目立つ部分を調整
- トラックを分けて音量調整
次の記事はマスタリング編について書いていきたいと思います。
*書きました↓
https://www.farm-netmusic.jp/2018-03-23-vocalmix6/
それでは。